ドローンとバーチャルリアリティ(VR)を連動させたコンテンツ制作技術が、韓国で発表された。今後、ここに拡張現実(AR)技術が適用されることになれば、社会の様々な分野で応用される可能性が高い。
バイロボット(byrobot)は、3月に発売されるドローン「ペトロン(Petrone)」に一人称視点映像(FPV:First Person View)機能を搭載し、VRと連動すると28日明らかにした。専用アプリケーションをスマートフォンにダウンロードすれば、製品に機器間無線LAN(Wi-Fi)転送、リアルタイムVR映像撮影機能を搭載し、飛行と同時にスマートフォンで映像を見ることができる。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)ヘッドセットを使用すれば、実際に飛行しているのと同じ感覚を体験することができる。バイロボットが独自製作する製品だけでなく、Googleカードボードなど、他社製のHMDとも互換性がある。バイロボットはまた、地理情報などと連携したAR技術の開発も支援しており、ドローンの映像をベースにしたビジネスモデルの構築に乗り出す予定だ。
バイロボット社のホン・セファ理事は「ドローンではFPVが広く活用されているが、VRと連携すればその利用率はさらに拡大する(中略)無線LANを利用し、80〜100m程度の遠距離にある映像を、目の前にあるかのように再現することができる」と説明した。
ペトロンはホビー用ドローン「ドローンファイター」の後に開発された新製品で、モジュール構造を採用、部品の交換だけで飛行、陸上運転など複数の機能を実装することができる。
位置測定に必要な小型カメラ、イメージプロセッサ、Bluetoothなどの基本部品は、大人の親指ほどの回路に含まれている。ロボット制御の専門家であるチ・サンギ代表とホン・セファ取締役をはじめとする技術者が独自開発した。
ドローン業界では、ドローンとVR連携の可能性について関心が高まっている。個人の趣味だけでなく、商業また防衛産業など様々な分野で応用が可能と見られているからだ。
市場調査会社・BIインテリジェンスは、2023年の世界ドローン市場規模を117億6000万ドルと予想している。そのうち、産業用製品の割合を12%と予想している。一方、防衛産業専門調査会社ティルグループは、今後5年間の商業需要の増加幅を、約19%と予測している。
仏パロット社は昨年、「ビーバップドローン(BebopDrone)」のコンセプトを公開。500ドルの価格のドローンに、魚眼レンズを装着しVRと連動する様子を披露した。韓国国内では昨年から「FPVドローンレーシング」が開催されており、1人称視点のゲーム分野として新たな動きが起きつつある。しかし、その技術は米国、中国、フランスんど外国製のものがほとんどで、国防など国家戦略技術に応用するのに困難と見られていた。
現段階の技術では、正面のみ再現が可能だが、5世代(5G)移動通信と連動すれば360度のVR映像を撮影することも可能である。
サムスン電子無線事業部技術戦略グループのク・ユンモ専務は「VRコンテンツをワイヤレスで送信するためには、現在より転送速度と品質が向上された5G導入が必要だ」と強調している。
ホン・セファ理事は「ドローンとVRの融合には、多くの可能性がある」とし「より多くの情報を知りたいと考える人間の欲求が、ドローン、VR、通信技術とともに新しい市場を創出するだろう」と期待感を表わした。
(ロボティア編集部)