中国政府が東北地方に人工知能(AI)ロボット産業団地を造り、次世代の成長動力として集中的に育成する方針を明かしている。経済的に立ち遅れた東北地方を発展させる手段として「人工知能ロボット産業」を導入しようというものだ。
瀋陽日報によると、北京大墨科学技術有限公司と中国科学院浦儷知能ロボット試験室が、瀋陽の新開発地区である沈北新区に40億元(約690億円)を投入し、2018年までに大墨知能ロボット産業団地を作る計画であるという。
きたる10月に着工し、瀋陽都心4次環状線の北側に位置することになる大墨知能ロボット産業団地は、53万㎡の用地に知能ロボット研究開発および生産・体験・展示・交易・学術普及などの機能を備えることになる。また、ドイツ産業用ロボットメーカー・クカ(KUKA)をはじめ、国内外のロボット企業を誘致し知能型ロボットを開発する。
瀋陽市政府は「北京大墨科学技術有限公司と中国科学院自動化研究所は、北京、上海などのロボットメーカーと協力し、様々な知能型ロボットを開発した(中略)重工業から先端技術へと産業構造の調整中にある東北地方に活力を吹き込むだろう」と期待を寄せている。
今年を元年とし、2020年まで中長期経済発展計画である「13次5ヵ年計画」を進める中国当局は、「全国の均衡な発展」と「先端技術の育成」を計画実践の主な柱としている。 東北の3省地域は工場密集地域で、過去には製造業のメッカだったが、1979年の改革・開放政策の推進過程で疎外され始めた。
一部メディアの分析によると、中国と北朝鮮の間の交易が冷え込み、東北地域の経済的打撃が大きくなると予想されているため、中国当局が景気復興のカードとして人工知能ロボット産業に着目しているとも言われている。
去る19日には、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOと、アリババのジャック・マー会長が北京・釣魚台国賓館で開催された「中国経済発展高位級フォーラム」で、人工知能がもたらすであろう未来について言及した。
ザッカーバーグCEO は「5〜10年以内に視覚や聴覚など感覚を網羅し、人間よりも認識力が高いコンピュータが出てくるだろう(ただし)AIがすべての面でよりスマートである必要はない」としている。
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