ドローンは動物の天敵!?動物保護におけるドローンの可能性

ロボティア編集部2015年9月2日(水曜日)

人間が立ち入れない場所での調査・研究活動で、ドローンの利用価値が高まりつつある。そのうちのひとつに動物保護がある。が、動物たちがドローンに警戒心を持って接することが、ここ最近の事例から明らかになり始めている。

ドローンと動物の警戒心の分野で有名なのは、科学誌「カレント・バイオロジー(Current Biology)」に掲載された米ミネソタ大学の研究だ。同研究は、ドローンに対する野生動物の生理的反応を調べた最初の研究で、最初に対象となったのはアメリカクロクマだった。

研究および調査は、クマの体内にセンサーを埋め込み、心拍数などの計測する形で行われた。結果、ドローンが近くに接近した際に、心拍数の上昇が見られたという。なかには、1分間の心拍数が39から162まで、400%以上も増加したクマがいたそうだ。研米ミネソタ大学のマーク・ディトマー氏がその事実について指摘しているが、これは2回宙返りするジェットコースターに人間が乗ったときよりも急な上昇率なのだそうだ。子連れのメスグマは特に警戒心が強いのだろうか、中にはドローンから逃げ出し、他のクマの縄張りに入り込んでしまった例もあるという。

ただし、ナショナル・ジオグラフィックは、次のように指摘している。

野生生物保護協会(WCS)の保護支援ディレクター、デビット・ウィルキー氏は、このほど行われたアメリカクロクマの心拍数に関する研究は解釈が難しいと付け加えた。

「彼らがドローンを表現するのに『ストレッサー』という用語を使ったのは不適切です」とウィルキー氏。「心拍数が示すのは興奮状態であり、自然な反応です。聞き慣れない音がすればどんな動物でも興奮状態になります。これは警戒の度合いの問題であり、必ずしもストレスとは言えません」

最近オーストラリアでは、ワシがドローンを攻撃した動画が撮影され、世界中で話題となった。これは、ワシがドローンを餌と誤認したと考えられている。また、オランダの動物園では、チンパンジーがドローンを破壊した後に、残骸まで確認する様子が捉えられた。さらに米国フロリダ州で、ミツバチがTVニュース撮影用ドローンと戦う様子も話題となっている。他にも羊やワニ、犬がドローンに警戒心をむき出しにし、攻撃的な様子を見せる姿が捉えられている。

photo by Neckbeard Network(youtube)