ペッパー、ヒッチボット…相次ぐヒューマノイド”暴行事件”

ロボティア編集部2015年9月8日(火曜日)

神奈川県横須賀市のソフトバンクの販売店で、ヒューマノイドロボット・ペッパー(Pepper)が“暴行される”事件が起きた。警察の調べによると、酒に酔っ払った60代男性が「店員の態度が気にくわなかった」と、ソフトバンクのスタッフと口論の末、イライラを抑えることができずペッパーに八つ当たり。足で蹴るなど暴行を加え、現行犯で逮捕されという。そもそもペッパーには、独居老人のために薬を飲ませたり、時間を知らせたり、体の異常を検知するという機能などが盛り込まれているだけに、今回の事件は非常に複雑な気持ちにさせられる。

先ごろ、カナダの研究チームが開発したヒッチボット(ヒッチハイク・ロボット)が、アメリカを横断中に破壊されたというニュースが話題になった。同研究チームは、「人間がロボットに協力するか」という趣旨で実験を進めたが、最終的に無残な結末に終わってしまった。今回の、ペッパーと同じ扱いを受けてしまった形だ。

一方、Googleに買収された軍用ロボット企業「ボストン・ダイナミクス」は、足で蹴られても倒れない動物型の四足ロボットを開発。その性能をYoutubeにアップしたところ、動物愛護を訴える人たちからクレームを受けたと言われている。テレグラフ紙は、動物愛護団体「動物に対する倫理的処遇を支持する人々」(PETA)が、本来とは少し異なる趣旨で声明を発表したと伝えている。

大人気アニメシリーズ「攻殻機動隊」には、いわゆる「ロボット人権法」のような趣旨の概念が登場し、法廷で争うシーンが描写されている。そこまでいかないにせよ、今後現実社会でもロボット養護の声が高まるのだろうか。ペッパー暴行事件については、ネットの反応を見ている限り、暴行を加える人を非難する声がある半面、「人間に怪我がなかっただけ幸い」「ペッパーに攻撃要素を追加すべき」などの意見もある。ちなみに今回、老人は暴行罪や傷害ではなく器物損壊容疑で逮捕されている。