下半身麻痺の男性がロボットを装着し娘とバージンロードを歩く

ロボティア編集部2016年6月2日(木曜日)

 クリス・パーマー(Chris Palmer、55歳)さんは4年前、ガンにかかり下半身が麻痺しました。病床にあったパーマーさんは当時、医者に「2度と歩けない」と宣告されました。それでも絶対に放棄したくないことがあったそうです。それは、娘の結婚式で一緒にヴァージンロードを歩くこと、娘の新たな人生の門出を祝うことでした。

「手術後、病院で横になっていた時、最初に考えたのが娘の結婚式のことだった。娘と一緒に歩けなくなったという事実が頭に浮かんだ」(パーマーさん)

 娘のヘザー(Heather)さんも、父親とヴァージンロードを歩くことを諦めませんでした。自動車メーカー・ロールスロイスで働いていたヘザーさんは、レックス・バイオニクス(Rex Bionics)という会社を発見しました。レックス・バイオニクスは、周囲の人間のサポートがなくとも、身体が麻痺した患者がひとりで歩けるようになるロボットを提供していました。

 ヘザーさんは早速、レックス・バイオニクスに連絡し事情を説明。同社のスタッフが、結婚式当日まで、パーマーさんにロボットの使い方を教えました。パーマーさんも、娘の結婚式に絶対に一緒に歩くという強い気持ちで練習に望んだそうです。

 そして、結婚式の日。パーマーさんはヘザーさんとともに歩くことに成功しました。パーマーさんはメディアの取材に対して「父親がしてあげられるもっとも幸福なこと。(中略)とっても驚くべき体験だった」と喜びを語っています。

「バイオニック・ウェディング(Bionic Wedding)」とタイトルが添えられた動画には、来賓客から祝福を受けるふたりの姿が映しだされています。結婚式は英ダービーで行われました。白いウェディングドレスを着たヘザーさんは、父親の手を取り、ゆっくりと歩を進めます。ロボットを装着したからといって、その足取りは決して楽ではなさそうですが、娘とヴァージンロードを歩くパーマーさんの姿は非常に誇らしいです。なお、パーマーさんが使用したロボットは購入すると9万ポンド(約1400万円)と高額だそうですが、当日はレンタルして装着したそうです。