米ネバダ州が中国イーハン社のドローンタクシーにテスト飛行を許可

ロボティア編集部2016年6月9日(木曜日)

 公共ラジオであるナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)など米メディアは8日、ネバダ州がドローンタクシーの試験飛行を許可したと報道した。中国ドローンメーカー・イーハン(Ehang)が、今年1月にラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー2016(CES2016)で公開した機体「イーハン184」が対象となる。

 高さ1.2m、重量200㎏のイーハン184は、本体下部から4本のアームが伸びており、そこに付属している各2個ずつ、合計8つのプロペラで飛行する。ちなみに、「184」は乗客が1人、8つのプロペラ、4本のアームを意味する。

 乗客が座席の前のタッチスクリーンに目的地を入力し、離陸ボタンを押すと、ドローンが飛行。自動飛行システムで目的地まで連れて行ってくれる。 2時間充電すると、23分間、時速16〜104km㎞の速度で飛ぶことができる。価格は1台、20〜30万ドル(約2130〜3190万円)だ。

 ネバダ州は航空宇宙産業やドローン産業の育成に熱心だ。砂漠に民間宇宙船の発射実験場を数多く誘致している。今回も知事傘下の経済開発室と、自動システムネバダ研究所(NIAS)がイーハンと協定を締結。テスト飛行の承認を出した。

ehang184_イーハン
photo by Ehang

 テスト飛行は、同州内にある米連邦航空局(FAA)の試験場で行われる。テスト機6台が、試験場から出発して目的地を目指す。なお州政府とイーハン側は、テスト飛行に実際に人を乗せるかどうかは明らかにしなかった。専門家たちは、ドローンのタクシーの有用性は肯定しつつも、早期実用化については疑問を呈している。

 技術的な問題に加え、安全性を確保しなければならず、各国政府が飛行規定で悩みざるをえないからだ。今回の試験飛行でも、非常時に乗客の安全を確保するアイデアをいかに実現するかがカギになるものと見られている。

 なお、中国企業イーハンは最近、米国で旺盛な活動を繰り広げている。今年5月5日には、人間の臓器をドローンで運ぶ計画が浮上したのだが、その主人公となったのもイーハンだった。イーハンは米バイオテクノロジー企業ラング・バイオテクノロジーと提携し、1000台の臓器輸送用ドローンを、15年間にわたり同社に供給する契約を締結している。

 イーハンは2014年に設立された企業で、本社は中国・広州にある。アメリカ、ドイツ、中国・上海、北京に分社を構える。主力商品はGhostdrone 2.0。マイクロソフト、レノボ、フォックスコン等出身者からなる約300名の社員を抱える。

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