米国コーネル大学の研究者チームが、魚型の新しいタイプのクローラーロボットの研究のためにNASAから予算を得る予定だ。自給自足が可能なそのフレキシブルロボットは、いつかの日か、木星の第2衛星であるエウロパを航海しながら、さまざまなアクションをこなすかもしれない。ちなみに、フレキシブルロボットとは、人間のようにその時の状況や変化を柔軟に判断し、作業をこなすロボットを指す。
研究者は、地球上に存在する奇妙な魚のひとつ「ヤツメウナギ(ランプレイ=Lamprey)」をモデルにするとした。コンセプトとしては、生物のように柔軟に変形可能(deformable)かつ、3Dプリント技術を応用したロボットとのこと。かなり異質な生物にインスピレーションを得たロボットのアイデアは破天荒だが、NIACプログラムを(NASA Innovative Advanced Concept)を強く惹きつけた。
NIACのスローガンは「空想科学小説を現実に」。空想科学小説の世界を現実のものとすべく研究開発を志す人々に対して、研究費用を援助するプログラムだ。研究者は想像力に溢れた「スペース・ヤツメウナギ」の構想を打ち出したが、エウロパを航海するまでに数十年の時間が必要とみられている。それでも、コーネル大学のエンジニアチームは10万ドル(約1200万円)を獲得。NASAは、今後同プランが実行可能かどうか見守る構えだ。
エウロパを航海するには、いかに自給自足を達成するかが課題となりそうだ。ヤツメウナギロボットは、原子力電池も、地球から送れる燃料も、太陽光パネルも使うことはできない。その星にある水もしくは物質を媒介して動力エネルギーを確保しなければならない。もし、仮にプロジェクトの実現が可能であると証明されれば、NASAはさらに50万ドル(6000万円)を出資することになっているという。
photo by NASA/National Science Foundation