人間とロボットのコミュニケーションギャップ解消へ...米コロラド大学が提案

大澤法子2017年2月7日(火曜日)

 近年、認知科学や心理学を含む様々なアプローチから、人間・ロボット間のコミュニケーションギャップを解消する方法が模索されている。昨年末、米カリフォルニア州サンフランシスコ市にて開催されたロボットのアルゴリズム基礎研究に関するワークショップ(Workshop on the Algorithmic Foundations of Robotics)に出席したコロラド大学のロス・ネッパー(Ross Knepper)教授および博士学生は、人間がロボットと互いにコミュニケーションをとり合うにあたり重要な信頼関係の構築方法を提案した。

 ネッパー教授らは人間・ロボット間のストレスレスなコミュニケーションに主眼を置いており、それを実現するための第一歩として、込み合った人間環境でのロボットの方向パターンに関する研究に着手したことを発表した。人間の周りに、移動中のロボットが存在するというケースを想定。そのケースにおいて生じる不確実性を解消することが主たる目的だ。

 例えば、社会的に信頼に足る人が廊下を歩いているとしよう。近くにいる人間は「その人のようになりたい」という願望がゆえに同じ振る舞いで廊下を歩くだろう。この場合、両者間には信頼関係が存在する。ネッパー教授らはこうした日常の経験を前提に、「ロボットが(人間である)自分のそばを通るだろう」という願望的予測をもって信頼関係が構築され、スムーズかつ社会的価値の高い経験が得られるものと説く。

 人間の方向パターンについては、トポロジーの組み紐理論に基づきモデル化可能であるという。移動者の経路は時空間における糸であり、複数の糸を絡ませながらパターンを形成し、最終的に想定され得る代替案が示唆された枠組みへと辿り着く。この枠組み内において、ロボット自身が進む方向に関する人間の思惑を想像しながら人間の意図を分析し、人間およびロボットの双方に対して応用が利く方向パターン戦略を創出することが可能と見ている。

 当研究における最終目標は、人間・ロボット間のコミュニケーション時に生じる不信感を解消することだ。ネッパー教授は「ロボットに意識が芽生えれば、人間自身にも自分の反応をロボットに知ってもらいたいという気持ちが生まれる。こうして、人間・ロボット間のスムーズなコミュニケーションが現実味を帯びていく」とコメントしている。

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大澤法子

記者:大澤法子


翻訳者・ライター。1983年、愛媛県生まれ。文学修士(言語学)。関心分野は認知言語学、言語処理。医療・介護分野におけるコミュニケーションに疑問を抱いており、ヘルスケアメディアを中心に活動中。人間同士のミスコミュニケーションに対するソリューションの担い手として、ロボット・VRなどがどのような役割を果たし得るかを中心に追及。

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