台湾メディアが指摘「政府はドローン投資を行うべき」

ロボティア編集部2015年8月23日(日曜日)

中国人観光客によって操作された無人航空機(ドローン)が、台湾の超高層ビル・台北101に墜落。国家安全保障上の懸念を誘発している。昨年から現在にかけて、世界中でドローンの墜落事故が多発している。ホワイトハウスや日本の首相官邸に墜落した事故は大々的に報じられた。また、戦争に悩まされているナイジェリア、シリア、パキスタンなどでは、ドローンの目撃情報が次々と報告されている。

一方で、画期的な技術の登場により、ドローンは離着陸が困難な場所でも使用することができるため、物流革命に拍車をかける存在として注目されている。

現在、世界中で使用されているドローンのほとんどは、中国・深センに拠点を構えるDJI製だ。DJIは、Google社と電気自動車メーカー・テスラに続き、コンシューマエレクトロニクス分野における「2015年の最も革新的な企業ベスト10」の第3位にランクインしている。DJIはまた、アップル社以外で唯一、世界の動向を決定できる企業と考えられており、世界民間ドローン市場の80%を占有している。

DJIは、香港大学出身のワン・タオ氏によって、2006年に設立された。科学技術を専攻していたワン氏は、大学卒業直後に大学の研究チームの支援を受けてDJIを立ち上げた。DJIは、無人航空機システムの使用・支援するために設計された、様々な製品やサービスを提供している。その領域は、アマチュア用からプロ用までと幅広い。

ワン氏は当初、彼が香港で最初に立ち上げたスタートアップに注力を注いでいたが、資金繰りや政府の支援不足などの要因で成功することはできなかった。そのため、拠点としていた香港を放棄することを余儀なくされ、以降、深センでDJIを立ち上げた。現在、深センは、特定の生産者をつなぐ独特なサプライチェーンの要所の役割を果たしており、キーテクノロジービジネスのハブ拠点にもなっている。2010年、香港大学は200万香港ドル(約3000万円)を同社に投資し、両者の緊密な関係を示した。

台湾政府は、DJIのような革新的な新興企業を生み出すために財政支援や規制緩和を進める役割を担っている。また、中国の学生だけではなく、大学を卒業した自国の有望な学生たちが台湾経済に貢献できるよう、政策的な支援を惜しまないことが期待されている。

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