韓国では、人工知能をはじめとした産業分野における、新たな資格制度の創設が議論されている。教育部は今月20日、ソウル三成洞のラマダソウルホテルで「第3次資格 管理・運営基本計画樹立のための公聴会」を開き、「能力中心社会の実現に向けた資格政策」推進計画を明らかにした。
韓国政府は2009年から「資格管理・運営基本計画」を樹立し推進している。2021年までに人工知能やビックデータなど、新産業分野の資格種目を20種以上新設し、「過程評価型国家技術資格」を現在の60あまりから250以上に増やす計画だ。
「課程評価型国家技術資格」とは資格テストを受けなくても、一定の基準を満たす教育訓練過程を履修すれば獲得できる資格をいう。韓国では同日、公聴会の結果を基に基本計画最終案をまとめた後、来月にはイ・ジュンシク副首相兼教育部長官が主宰する資格政策審議会で確定する予定だ。
一方で人工知能やビッグデータ、ICT技術を活用するための新資格制度の創設は、日本でも議論されている。先月4日、新たな資格制度「スマートマスター」の第1回目となる試験が行われた。
「スマートマスター」とは、IoT時代のスマートハウスのプロフェッショナルとして、家の構造・性能に関する知識や家電製品および住宅設備、さらにはエネルギーマネジメントなどに関する技術や商品の動向を幅広く理解し、消費者個々のニーズに合ったスマートハウス構築をサポートする資格だ。
これは、スマートハウスの普及を見越した人材育成を目的としており、一般財団法人・家電製品協会によって、今年新たに新設された。スマートマスターの試験範囲は、大きく分けてスマートハウスに関する内容と、家電製品に関する内容のふたつに分かれる。
一概にスマートハウスといってもその範囲は広く、さまざまな住宅の基礎知識が求められる。まず、エコ住宅を筆頭とした自然環境を利用したエネルギー関連の知識。最近では、太陽光エネルギーや雨水を再利用したエネルギーなど、さまざまな自然エネルギーを建物に取り入れることが可能となっている。資格には、そのようなエネルギーに関する知識が求められる。
次いで、物件購入やリフォームなど、家全体に関する知識。 そしてITを活用して住宅の消費エネルギーを制御したり、エネルギーの自給自足を実現させるスマートハウスに関する知識も求められる。これは、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)で、家電、太陽光発電、電気自動車等のエネルギー機器を一元管理したり、自動制御・遠隔操作を行うシステムや機器についての見識だ。
加えて、IoTと家電製品に関する知識が必要となる。すでに、家電の販売・および接客のプロとして、消費者の商品選択や使用方法、不具合対応、廃棄等について的確にアドバイスし、サポートするための資格「家電製品アドバイザー」や「家電製品エンジニア」が存在する。しかし、いまやひとつの製品に詳しいだけでなく、前述した通りエネルギーやその製品を使う環境まで考慮しながら提案しなければならない。業者を選定する際の判断基準として、それら資格は今後、消費者にますます注目を浴びそうだ。
なお、これからも専門知識に富んだ人材を育成するひとつのツールとして、多様な資格制度が新設される見通し。最新テクノロジーと関連した、世界共通の資格も新たに登場するかもしれない。
photo buy 家電製品協会