レパートリーは2000種類!調理ロボット・モーリーは約180万円

ロボティア編集部2015年4月28日(火曜日)

ロンドンのロボット企業モリーロボット(Moley Robotics)とシャドーロボッティクス(ShadowRobotics)が共同で、自動調理ロボット・モリー(Moley)を開発し話題となっている。

2015年4月にドイツで開催されたハノーバーメッセ(Hannover Msse)産業博覧会で披露されたモリーは、訪れた観客の前でカニのスープを作って見せた。当然、人の介入はなし。モリーがスープを作るのにかかった時間は約30分だった。

モリーは、129個のセンサーと20個のモーターで構成されており、キッチンの天井部分にロボットアーム2個を設置した形で構成されている。ロボットは、人の手の構造を模倣して、ほぼ同じサイズで製作されており、洗練された腕の動作で調理器具を扱う。操縦は、組み込み式(built-in キッチンの壁に付着したタッチスクリーンの使用)、またはユーザーがスマートフォンにダウンロードした専用アプリを通じて行う2つの方法がある。2,000種類の食品調理過程がプログラミングされており、ユーザーの指示に応じて、簡単な調理補助から調理全過程までこなす。

ユーザーは、必要な食品を選択した後、好みに合わせて材料、所要時間、アレルギー食品を除くオプション、消費しようとするカロリー制限の設定、食品の種類、使用する調理器具などを設定することができる。モリーは、ユーザーのニーズを総合し調理した食品を提供する。

機械的動作のすべてを数学的に計算しコーディングすると、天文学的な時間がかかる。モリーロボット社は、それを避けるために撮影スタジオを設立し、動作認識カメラを複数設置。調理する際の人の動きを様々な角度で記録してデジタル化する方法を選択した。
スタジオ内でのロボットの調理学習は、提携したシェフチーム・アンダーソン(Tim Anderson)が担当した。ティム・アンダーソンは2011年のマスターシェフ・プログラムのチャンピオンであり、一流シェフだ。彼の動作は細分化され、データベースに保存されている。デジタル変換されたデータはロボットのプロセッサに入力され、製品のアーム部分の動作のために順序付けされる。

調理ロボット・モーリー
調理ロボット・モーリー photo by pbs.org

今後、動作認識カメラを家庭に設置して、ユーザーの料理シーンを記録も可能となる見通しだという。ロボットに内蔵された食品のレシピのほか、ユーザーの趣向を反映した食品を使用した料理を作る機能を追加する予定である。加えて、レシピライブラリをネット上に作成し、ユーザーが作った料理コンテンツを共有、必要なレシピをダウンロードできる、料理プラットフォームを拡張するという計画もあると言われている。

モリーロボット社の設立者であるマーク・オレイニク(Mark Oleynik)氏は、自動調理ロボットを開発するために、18年間の歳月を費やしたとされる。大量製造によって生まれた料理は味が“標準化”するとされてきたが、モリーが作った料理は最高の腕を持ったシェフの技術を再現するため、“最高の標準化”が行われることになる。マーク・オレイニクはそのことに自信を隠さず、メディアの取材に答え次のように話した。

「2000個の調理をこなせることに観客は驚いたはず。これからも、世界中の人々の生活を手伝えるようにさまざまな研究を続けていく」

モリーロボット社は調理機能に加え、冷蔵庫や食器洗浄機などをロボットに組み合わせ、自動化されたキッチンモデルを提示することが目標としている。ロボットは、早ければ2017年に完成する予定。普及型キッチンロボットは、1万5000ドル(約180万円)で市販される見通しである。