Googleのドローン配送計画が中止か...事業部門縮小へ

ロボティア編集部2016年11月9日(水曜日)

 Googleのドローン配送プロジェクト「プロジェクトウイング(Project Wing)」が暗礁に乗り上げているという。8日、ブルームバーグなど海外メディアは、プロジェクトウィングへの人材補充が凍結され、もとの人員も他部門へ配置されはじめていると報じた。

 Google 内のプロジェクトチーム「Google X」で始まったプロジェクトウイングは、これまで数年間にわたり進められてきた。プロトタイプドローンの開発・テスト飛行を終えており、その進捗は順調かのように見えた。また、Google 側はこれまで、2017年までにドローン配送を商用化=実現するという目標も掲げ、“意気揚々”だった。しかし、Googleの親会社であるアルファベット内部で、利益をすぐに出すことができない事業部門の整理が進められており、プロジェクトウィンドその一事業として含まれている可能性が高いと、海外メディアは報じている。

 プロジェクトウイングが完全に放棄されたのか否か、その事実関係は正確には確認されていない。ただ、人材の異動が確認されたこともあり、放棄もしくは、一時的に中断する可能性が提起されている形だ。

 ドローンによる商品・物資の配達は、配達員のアクセスが困難な地域では有用とされている。一方、都市部で商業用ドローンが増えると、空中での衝突、地上落下などの事故どの危険性が高まる。そのためドローンを飛ばす技術はすでに出揃っているが、安全確保のための法改正など、短期間で解決されづらい課題が山積みだ。

 ちなみに、Googleは世界最大のコーヒーショップチェーン・スターバックスと提携を結びドローンのテストを行ってきたが、その提携関係も解消したと報じられている。これは、Googleが望む顧客データへのアクセス・収集について、両社で意見に相違があった、またそれらを含む複合的な理由があったとからだと分析されている。

 なお、Googleをはじめとする大手IT企業がドローン市場に参入を望む理由のひとつには、その「データへのアクセス」がある。ドローンから得られる画像など各種データは、IT企業にとって非常に有用な資産となる。ドローン配送の商用化がいつ実現するかメドが立たず、またまたデータ収集というメリットも困難に直面した現在、Googleがプロジェクトに注力しなくなったと考えてもなんら不思議はない。

 現在、米国では許可を受けたいくつかのテスト地域を除いて、ドローン配送が禁止されている。流通大手・アマゾンやウォルマートもドローン配送プロジェクトを進めているが、Googleが“放棄”をにおわすなかで、どのように方針を修正してくるのだろうか。その去就が注目される。

photo by ProjectWing