AI導入で弁護士「報酬基準」激変か...時間チャージ方式はなくなる!?

ロボティア編集部2017年2月27日(月曜日)

 米弁護士業界では、人工知能の採用が相次いでいる。昨年5月、ベイカー&ホステトラー(Baker&Hostetler)という法律事務所に、人工知能「ロス(Ross)」が採用され、実際の業務に活用され始めた。膨大な量の文書を読み込み、破産分野の業務を処理するのがロスの仕事だ。

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 ロスは米IBM社が開発した人工知能「ワトソン(Watson)」をベースにつくられている。ワトソンは自然言語(人間の日常の意志疎通に用いられる言葉)を理解する高い性能を誇り、人間が質問すると意味を理解し応答するのだが、その技術がロスに採用されていることになる。ロスはすでに米国内12の法律事務所で導入・活用されており、英国などヨーロッパでも利用の可能性が議論されているという。

 人工知能の導入が進むことにより、弁護士業界は大きな変化にさらされている。一部、専門家たちからは、「法律サービスの領域では、過去200年間に起きた変化よりも、今後20年間の変化がはるかに大きい」とする指摘もでてきている。

 まず変化すると考えられるのは、弁護士の人件費だ。弁護士への報酬は「タイムチャージ」方式、つまり作業時間や拘束時間で決まるケースがある。そこでロスのような人工知能の利用が広がれば、弁護士が業務を行う時間は短縮され、人件費も下がることになる。人件費が下がれば、法律サービス自体の価格が低下していくことも考えられる。利用者にとっては、サービス利用の障壁が低くなるはずだ。一方、弁護士側のメリットとしては、勤務環境が改善され、業務の負担が減ることにつながる可能性がある。