スタイラーCEO・小関翼氏に聞くニューリテールとファッション・アプリ「FACY」

スタイラーCEO・小関翼氏に聞くニューリテールとファッション・アプリ「FACY」

Posted date:2018.11.08

■追い風となったスマートフォンの普及...広がるニュー・リテール

さらにオンラインのECとオフラインの実店舗の垣根を低くしたのがスマートフォンの普及だ。小関氏によると、2011年には14.6%だったスマートフォンの所有者が2016年には56.8%と約5倍に増えた。1990年代から全世界で普及したパソコンは「家の中にいながら」消費が楽しめることを可能にした。ただ、パソコンの前に座らなければ、インターネットの恩恵も享受されず、店舗がECによって置き換えられた点だけが強調された。

2010 年から全世界で爆発的にヒットしたスマートフォンは人間の移動とセットだ。家にあるパソコンの前に座らずとも、スマートフォンを片手に移動もできるので「常時繋がりなら」消費を楽しむことを可能にした。オンラインであるスマートフォンとオフライン(実店舗)がより積極的に、時には同時進行で関われるようになった。日本でも9割が小売店での流通であることを考えると、オンラインであるECとオフラインである実店舗を組み合わせるニュー・リーテルのシステムは合理的だ。

一昔前までは、センスのあるとされているファッション編集者が広告費をもらって衣服を並べるのが実情だった。小関氏はその逆を突いた。ユーザーの投稿などから、今、何が求められているかのデーターはふんだんに持っている。そして、それがどの小売店に置かれているかの情報も合わせ持つ。そうしてプールした一連の情報を元に「FACY」のプラットフォーム上に掲載する記事も自社の編集チームで作成しているので、これまでのファッション編集者が「これがトレンドだ。流行だ」と勧める、上から目線のやり方とは著しく異なる。あくまで顧客が欲しいもの、そうなったらいいなという要望が商品の提案の根底にある。

スタイラーのファッション・アプリ「FACY」は英語の“面と向かって”を意味する「Face to Face」からヒントを得たという。小関氏は「誰かに何かを聞いて、それで納得して、物が買えるということを目指している。ユーザーはそういうものを求めている」と話す。筆者が完璧、全知全能の顧客中心のサービスを提供していると思ったアマゾンのサービスよりも更にきめ細かやなサービスを小関氏は「FACY」を通し提供しようとしている。売り手である小売店と、買い手である顧客を「FACY」は繋ぐ。コミュニケーションがより密になれば、双方にWin-Winの関係が築かれていくだろう。

■取材/文  本田路晴
1962年、米ニューヨーク州ニューヨーク市生まれ。大学卒業後、広告代理店勤務を経て読売新聞社に1988年入社。特派員として1997年8月から2002年7月までプノンペンとジャカルタに駐在。2004年の退社後はシンガポール、ラオス、タイ、ベトナムと東南アジアを転々とする。その間、国会議員の政策秘書も経験する。東南アジア滞在歴は足掛け10年。様々な視点から同地域をウォッチし続ける。

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