AI・ロボット活用し先端医療機器大国となりつつあるイスラエル

ロボティア編集部
ロボティア編集部

 ここまで医療産業が拡大されたことには、イスラエル政府が行ってきた全面的なバックアップが功を成したとみられる。イスラエル輸出国際協力機構(IEICI)によると、イスラエルの医療産業企業は2000年にはわずか200社あまりだったものの現在は1251社に急増し、そのうちの500社が80億ドル(約8988億円)規模の製品・サービスを輸出(2015年基準)しているという。 内訳としては、医療機器が約70%を占めており、次いでバイオテクノロジー関連(10%)、製薬(10%)などが続いている。

 こうした医療産業の発展の原動力は、たえず創出されるスタートアップたちだ。 イスラエル全体の医療産業メーカーのうち、98.5%が中小企業であり、近年では1年に80社もの新たな企業が設立されている。

 イスラエル政府は病院・大学ごとに技術移転オフィス(Technology License Office: TLOあるいは Technology Transfer Office: TTO)を設置し、スタートアップが常時成長できる環境を創り上げた。このTTOの評価すべきところは、第一線で活動する医師や関連分野の教授と直接やりとりのできる窓口の役割を果たしている点だ。 これを通じてスタートアップ企業は、現場で要求されるニーズを直接聞く機会を持つことができ、開発技術をすぐに提供することができる。一方で現場の担当者たちは、開発された先端技術にいち早く接することができ、十分な検証やテストも可能。イスラエルでは、この流れがすでに一種の医療の生態系として構築されている。

 しかしながら、イスラエルの医療産業にも悩みはある。イスラエル初のスタートアップ企業は経営・マーケティングに対する知識不足によって大手企業へと成長できず、海外のグローバル企業に買収されるケースが多い。せっかくイスラエル発の新技術を開発しても、海外メーカーの名前で世界に発信されてしまうこともある。国を挙げて産業の拡大を図るイスラエルだが、その革新的技術とユニークな発想の動向に注目していきたい。

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