冷凍銃にワシまで…「アンチドローンシステム」技術と課題まとめ

 2015年に日本の首相官邸屋上にもドローンが飛来したが、発見されたのは13日後だった。最も厳しいレベルのセキュリティを誇る首相官邸でも、ドローンを検出することができなかったのだ。仮にドローンを無力化することができたとしても(世界各地ではドローンを無力化する技術が次々と発表されている)、まず侵入を検出できなければ、セキュリティ技術としてはまったく意味をなさない。

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 ドローン検出技術は、大きくアクティブ(Active)方式とパッシブ(Passive)方式に分けられる。アクティブ方式はレーダーを利用するもので、現在、ドローン検出技術としてもっとも注目を浴びている。世界有数の防衛産業関連企業が、既存の防空レーダーを改良し、超小型ドローンを検出する技術を開発している。レーダーが低高度の航跡(飛行機や船が通過した後に生じる雲や波に残る筋など)を検出すると、高性能な電子光学赤外線装置(EOIR)カメラが、その航跡を拡大して写真を撮る。

 このとき、オペレーターは、画像を通じてドローンかどうか識別。電波妨害装置などを発射してドローンを無力化するという流れである。レーダー探知装置の利点は、検出距離が非常に長いということ。最大検出距離は3〜10㎞、最大識別距離1〜3㎞まで達する。早期にドローンを検出することができ、十分な対応時間を確保することができる。

 ただ、レーダーを使った検出・検知にはいくつかの致命的な欠点もある。そのひとつが、死角が非常に多いということだ。レーダーが持つ特性上、設置された場所よりも低い高度、また領域は検出できない。また、レーダービームが遮蔽されると、その後方が死角となる。建物や丘がある区域では、検出ができない地域が非常に大きくなる。

 そもそも、レーダーの近接検出能力は非常に低い。一般的に、装置から約50m以内にドローンが近づくと、レーダービームの照射角が非常に狭くなり、実質的に検出視野から消えることになる。そのため、レーダー単独では完全なドローンの検出は不可能であり、このような死角を補完するためにレーダーの配置数を増やすことが必要となるが、そうなると設置・管理コストは爆発的に増加してしまう。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。