冷凍銃にワシまで…「アンチドローンシステム」技術と課題まとめ

 レーダーが持つもうひとつの問題は、機体の特定をあくまで人間に依存する必要があるという点である。レーダーは、空で動くものすべてを検出する。そこにはドローンの他にも鳥が含まれる。そして、レーダー自体はそれらを区分することができない。高性能カメラで撮影した画像は、あくまでもオペレーターが識別しなければならない。

 そのため、レーダーでセキュリティソリューションを運用するためには、24時間体制で人員を配置する必要が出てくる。これは人材運用とコスト面で非効率的だ。また、鳥を検出して警報を鳴らしてしまう場合がほとんどだという。つまり、誤検出率が非常に高く、翻って言えば、実際にドローンが現れた際に識別するオペレーターの注意が散漫になる可能性が非常に高い。海外では軍のレーダーセキュリティーシステムが、鳥の大群をドローンと誤って検出した例も報告されている。

 現在、画像を識別する人工知能技術、主にディープラーニングの分野ではさまざまな成果が報告されているが、それらテクノロジーとの掛け合わせも必要となってくるかもしれない。

 一方、パッシブ方式はドローンの特性を検出する方式だ。なかでも最も効率的な方法として、ドローンの無線通信を検出する技術が注目を浴びる。ドローンと操縦者間の操縦信号と映像信号の送受信は、特定の周波数の無線電波で行われる。この通信を検出・識別することで、ドローンの侵入を事前に察知するというものだ。

 ただこの方法も、ドローンがGPSを使って自動飛行すると、完全に意味をなさなくなるという欠点がある。したがって、パッシブ方式では、ドローンの見た目やプロペラの音を検出・識別するための、映像および複合センサーが必要となる。まずドローンの無線通信を検出するように努め、検出網を突破された場合には映像や音響などの信号を検出することにより、検出率を高めるというものだ。

 パッシブ方式は、検出・識別を完全に自動化することができるという点で、アクティブ方式と対比される。すなわち、ドローン検出のためにオペレーターを運用する必要がないと言われている。ドローンの物理的・電子的特性をデータベース化するため、誤診率が非常に低いというメリットもある。また、ビーム照射するレーダー装置とは異なり、設置および運用時の法的障害も少なく、初期費用と運用費用も相対的に低い。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。