物理的な無力化の他の方法としては、ドローンをドローンで撃墜・捕獲する方法も模索されている。以前、日本の警察がこの方法を紹介し話題となった。ドローンにネット=網を搭載して不法侵入したドローンを捕まえるというものだ。
とはいえ、この方法を実践しようとすると、捕獲用ドローンを上手に操る熟練した操縦者(オペレーター)が24時間待機しなければならない。実質的に、現場に採用するには無理がある。このような問題を改善するために、離陸と捕獲を自動化したドローンの開発を進めるスタートアップもあるが、まだ製品化はされていない。
余談だが、オランダでは猛禽類を動員してドローンを捕獲するという方法も模索されている。こちらは、警察が正式に採用を検討している。
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さらなるドローン無力化の方法として、ジオフェンシング(Geo-Fencing)技術がある。これは、ドローンを運用するソフトウェアに飛行禁止区域やGPS情報を入力し、特定の地域では強制的に飛行できないようにする方法だ。世界で最も多く販売されているDJIのドローンは、飛行禁止区域で最初から始動さえせず、飛行中に飛行禁止区域に進入すると、警告とともに離陸ポイントに帰還する。ただ問題として、ジオフェンシングが搭載されていないドローンも非常に多いという側面もある。また、ジオフェンシングが搭載されたドローンでも、GPS機能を無力化すれば技術が使用できない。ドローンを違法で使用する人々にとっては、それほど“驚異的”なセキュリティ技術ではないことになる。
またドローンを無力化する方法ではなく、ドローン攻撃そのものを避ける方法も考えられる。つまり、ドローンの侵入が確認された場合に、情報保護、対象隠蔽、操縦者の捜索など、さまざまな方法でドローンによる被害を下げる道がある。ドローンの攻撃対象そのものを保護したり、隠すことで被害を軽減するというものだ。ただその場合も、進入したドローンを停止する方法がないという問題が残る。特定の施設に対してテロが敢行されるケースでは、攻撃を軽減することは難しいだろう。