次世代ドローンは失敗から学ぶ「衝突回避機能」搭載!?… 1万5000の衝突データをAIが学習

河鐘基2017年5月23日(火曜日)

 ドローンにとって、障害物との衝突は脅威だ。障害物に衝突すると機体が破損してしまい、タスクを完遂できない可能性がでてくるからだ。また最悪の場合、周囲の人やモノなどに害を与えてしまう恐れもある。そこで、ドローンの研究・開発分野では、衝突を回避するための技術が日々、模索され続けている。

 世界各国の企業や研究機関で関連研究が進むなか、米カーネギーメロン大学(以下、CMU)のロボット研究者たちは、ユニークな方法でドローンに衝回避能力を付与しようとしている。従来のように「いかに衝突させないか」をつきつめるのではなく、「無数の衝突の経験」をデータとして収集。そのデータを、人工知能技術のひとつであるDCNN(Deep Convolutional Neural Network)でドローンに学習させるというものだ。

 今回の研究でCMUの研究者たちは、まずパロット社製の「ARドローン2.0」を異なる環境20カ所で飛行させ、40時間の間に他の物体と衝突するようにした。つまり、飛行中の衝突に関する膨大なデータセットをつくったということになる。そうして得られた1万1500個の衝突データを、DCNNを通じてドローンに学習させた。

 なお研究チームは、学習をさせる前にドローンのフロントカメラを利用して、飛行軌道に関する多くの画像を撮影している。その撮影画像は「正常に飛行した際の画像」と、「衝突直前の画像」に分類された。

 そしてその二種類のデータセットを、DCNNに投入。衝突関連のデータを学習したドローンは、やがて自律的に衝突を回避する能力を備えることになった。具体的には、ドローンが「衝突直前の画像」と対応する物体を検出した際には方向を転換、反対に「正常に飛行した際の画像」と対応する物体を検出した場合はそのまま進むという仕組みだ。なお学習を終えたドローンは、白の壁やガラスドアなどに接近した際も、簡単にそれらを認知・回避することができるようになったともされている。

 共同研究者の一人であるディラジ・ガンジー(Dhiraj Gandhi)氏は、今回の研究結果を「衝突による飛行学習」という題名の論文で発表しているが、そのなかで、「シミュレーションと実際の環境では、(ドローンの)認識面で大きな違いがある。ほとんどの研究者が大規模の実際の環境データを回避する理由は、衝突に対する恐怖からである」と指摘している。

 失敗を恐れずに挑戦し続けることで、実践的にものごとを学ぶ――。人間の知能を伸ばす効果的な方法で機械に学習させているという点で、同研究が持つコンセプトや成果は注目に値するかもしれない。

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photo by CMU(via youtube)

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。