東北大学「ダンスを教えるロボット」開発中...トレーニングやリハビリで活用

ロボティア編集部2017年6月5日(月曜日)

 東北大学のDiego Felipe Paez Granadosら氏が、ダンスを教えるインストラクターロボットを開発。ヒューマン・マシン・インタラクション(Human Machine Interaction)の観点から、海外メディアの注目を浴びている。

 Paez Granado氏は以前、人間のダンサーと踊るパートナーロボットを開発したことがある。ただし生徒に効率的にダンスを教えるためには、全体のプロセスを維持する必要があり、人間に合わせるだけのダンスロボットよりも、インストラクターロボットがより複雑なのだと言う。

 インストラクターロボットの身長は1.8メートル。下半身は車輪でできており、上半身は人間のダンサーのように動く。実際に踊りを教える仕組みとしては、まず力覚センサと2つのレーザー距離計で学生の動きを追跡。これを、専門的なダンサーの動きを記録したモーションキャプチャデータと比較し、良く踊れているか判断するという。

 練習が進むにつれ、インストラクターロボットは徐々にダンスに誘導するために使う力を減少させていく。結果、学生はロボットに依存せずとも、踊れるようになる。一方、学生がミスをすると、ロボットの画面にリアルタイムでフィードバック(進行状況や励まし)が表示される。

 ワルツを学んだことがない初心者を対象としたテストでは、6人のうち5人が上達したそうだ。研究結果は、最近シンガポールで開催されたロボットとオートメーションに関する国際会議で発表された。なお、学生のダンス習得状況を勘案しないようにプログラミングされたロボットに学んだ他の比較グループは、6人のうち4人が上達しなかったそうだ。まだまだ、インストラクターロボットには発展の余地がありそうだ。

 人間に動作を教えるロボットが発展すれば、今後、リハビリやスポーツトレーニングなど、さまざまな分野で活用可能だと、Paez Granado氏は説明している。

「(人間の)講師には、学ぶ人すべてに教えはない特別なスキルがある(中略)どの分野であっても、専門家レベルで教えてくれるシステムがあれば、市場で大きな反響を得るだろう」(Paez Granado氏)

 英ロンドン・インペリアルカレッジで、人間と機械の相互作用を研究するEtienne Burdet氏によれば、リハビリテーション分野ではロボットがすでに活用されているが、ダンスを教えるインストラクターロボットの登場は、人間ー機械間の相互作用を、より複雑かつ、全面的に拡張することを意味すると指摘している。

 またBurdet氏は、「人間と機械間のより自由な形の物理的相互作用を理解することは、人間のドライバーと自動走行車間の制御権の移転など含む、多くの分野で重要な事柄になるだろう」と付け加えた。

 人間に動きを教わる、もしくは人間の動きを真似るレベルではなく、人間に動きを教える段階にまで研究が進んできたロボティクス。人間―機械間の相互作用にも、いずれ変化が起きるかもしれない。

photo by system Robotics Laboratory

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