米物流FedExのサービスロボット稼働開始...無人宅配ロボットや連動も計画中

ロボティア編集部2017年6月24日(土曜日)

 物流大手・フェデックス(FedEx)が、シリコンバレーに拠点を構えるロボットスタートアップ・サビオケ(Savioke)と共同で、自社施設内で荷物を運ぶ自律移動ロボットの開発を進めている。サビオケはサービスロボット「リレイ(Relay)」を製作するメーカーだ。

 フェデックスは昨年からサビオケのリレイを活用し、修理センターであるテネシー州コリアーヴィル情報技術センター内の配荷作業を自動化するプロジェクトを進めてきた。修理センターには、顧客に配送される過程で壊れたスマートフォンなどの電子製品が持ち込まれるが、リレイに修理に必要な機器や物を運ぶ作業を代替させ、業務の効率化を目指す。

 これまで主にホテルに供給されているリレイは、重量約4.5kgの荷物を載せて移動することができる。ホテルでは顧客にルームサービスを提供したり、歯ブラシ、歯磨き粉、タオルなどを部屋まで運ぶ役割を担う。利用料は月2000ドル。すでにシェラトンなど大手ホテルを中心に、10万件におよぶ出荷業務を処理してきた実績を持つ。

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 サビオケ製品の設計担当役員であるエイドリアン・カノーサ(Adrian Canosa)氏は、「私たちの目標は、物をある場所から別の場所に移動する方法を変化させること」と述べているが、フェデックスとサビオケの提携は、ロボットがホテル接客業務にとどまらず、一般的な配送業務に用いられる予兆なのかもしれない。今後、病院、物流センター、ショッピングセンター、アパートや団地など人々が行き交う場所すべてが、リレイの市場になる可能性がある。

 フェデックスは現在、前述の修理センターで7台のリレイを稼働させている。またフェデックス系列会社であるキンコーズ(Kinkos)のマンハッタンオフィスにも、1台が設置された。カノーサ氏は「フェデックスに設置されたリレイは、オフィスで1000マイル(約1600km)の距離を移動しながら、数万件の出荷業務を処理している」と状況を報告している。

 フェデックスに導入されたリレイは、複数の業務命令を一度に処理する能力を持つ。またオペレータは制御ソフトウェアを利用して、複数の機体を一括管理することが可能だ。

 フェデックスのフレッド・スミスCEOは、さまざまなロボットの導入により事業をスリム化することを推進しているとし、現在、リレイだけでなく配送トラックから商品を下すロボットの導入も進めていると言及している。加えて今後は、自律走行車を使った「無人ロボット発送」や、「AIアシスタント」を通じた物品の発送サービスも用意しているとコメントしている。

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photo by savioke.com