AIで猛暑日を予測するプロジェクト始動...緑地や高層ビルなどの変数も考慮

ロボティア編集部2017年6月28日(水曜日)

 地球の温暖化や猛暑による人命被害が世界的な課題として浮上するなか、韓国では人工知能を使った「猛暑予報モデル」が開発される見通しだという。韓国の国内研究チームは、AIを天気予報に導入。都市ごとの猛暑を予測できる関連技術の開発に乗り出そうとしている。

 韓国では「猛暑日」の数が増加傾向にある。過去42年間(1973〜2014年)、韓国では猛暑日が主に6〜8月に集中していたが、最近では5月および9月にも確認されるようになってきた。当然、人命・物損被害も増加傾向にあるが、 2011年9月には大規模な停電の要因にもなった。なお、2016年5月の平均気温は1973年以来、最高値を記録している。

 猛暑(韓国では暴炎という)は、異常な高温が数日から数十日間にわたり続く現象だ。韓国では2日以上にわたり最高気温が33度以上になると予想されると「暴炎注意報」、また35度以上になると予測されると「暴炎警報」をそれぞれ発令される。

今後、韓国の研究チームは、3日~2週間前に猛暑日を前もって予測する技術を開発する計画だとしている。蔚山科学技術大学校(UNIST)は26日、同プロジェクトと関連し「猛暑研究センター(Heatwave Research Center)」を発足させた。同センターには、今後9年間で45億ウォン(約4億5000万円)が支援される。猛暑予測技術を開発、また予報技術に長けた人材が養成される予定だ。

 猛暑研究センターのイ・ミョンイン代表は「近年、猛暑は東アジア大陸にまたがり、広範囲かつ強力に発生する傾向があるが、その動向に関する学術的理解が不足している(中略)気候変動、大気ブロッキング、北極海の海氷など全地球的な要素はもちろん、緑地の減少や高層ビル増加など、地域的な要素まで考慮して猛暑の原因を突き止めていきたい」としている。

 現在、韓国の気象庁は、気象予測のための数値予報モデルを開発し、スーパーコンピュータを利用して日中の最高気温と最低気温などを予測している。ただこのモデルだけでは、猛暑のような特異な気象の長期予測が難しく、3日後を想定した実用的なレベルでの予報が行われていない。

 研究センターは、これまで気象庁が使用してきた数値モデルをベースに、短期予測(3日以内)と中期予測(3日〜2週間)の精度向上に注力する。気候変動に対応できる新しい予報技術の開発や、AIを利用して都市ごとの猛暑予測を可能にしていく計画だ。

「気候変動が激しくなっているので、日常の天気予報よりも猛暑の熱帯夜ような危険な気象状況を正確に予測する方向に予報パラダイムが変わらなければならない(中略)人工知能技術を数値予報と衛星データに導入した『融合予報技術』を確保すれば、気象災害に効果的に対応することができるだろう」(イ代表)

 研究プロジェクトには、UNIST以外にも、慶北大学校、光州科学技術院(GIST)、全南大学校、釜慶大学校の研究者たちも参加する予定だ。

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photo by Guian Bolisay(via flickr)